耳より!SPかわら版
医療現場に求められるリーダー像
第8回:衝動のコントロール
"第8回:衝動のコントロール 仕事上でカッとなった時、私たちは衝動的な行動をとってしまいがちです。怒鳴ったり、舌打ちしたり、わざと机の上に書類をバンと音を立てて置いてみたり。リーダーは勿論のこと、こうした振る舞いは社会人全般に望ましくありません。周囲からは「今日は期限が悪いのかな」「仕事で関わるのは最低限にしよう」と思われてしまい、本当に必要なチーム内での確認や話し合いが疎かになってしまいます。こうしたことが積み重なれば、万全な意思疎通は図られず、リスク危機管理が不十分な事態にもつながります。 カッとなった時ほど、冷静になるための時間を取りましょう。以前、瞬間的な衝動を抑えるために「6秒」待つことを伝えましたが、今回は「タイムアウト」というテクニックを紹介します。これは「6秒」よりもずっと長く時間をかけて、頭を冷やして仕切り直す方法です。具体的には、自分自身が「感情をコントロールできない!」と自覚した際に、「一旦その場から離れる、立ち去る」のです。感情をリセットしたい時や、その場の雰囲気を悪化させたくないような時に使ってみてください。 感情トラブル回避術 まず、イライラや怒りを感じたら、心の中で「タイムアウト」とつぶやきます。相手に「ちょっとトイレに行ってきます。5分後に戻ります」と必ず戻ってくる時間を穏やかに伝えてから、その場を離れます。何も言わずに立ち去れば、相手は余計に怒って、後を追いかけてくるかもしれません。無視された、ふてくされたと思われないためにも、戻る時間を穏やかに伝えましょう。 その場から離れたら一人になれる場所に行き、大きく深呼吸をして心を落ち着かせます。首筋や肩を揉んだりするような軽いストレッチを行う、リラックス効果のあるハーブティーを飲むこともお薦めです。 逆に一人になった時に絶対にやってはいけないことは、扉をバンと叩いたり、大声で「もうやっていられない」「冗談じゃない」「一緒に仕事なんかできない」などと叫んだりすることです。そうすることで、かえって感情が高ぶり、怒りが増大するので逆効果です。気持ちを静めるために場所を変えるのだと肝に命じましょう。一人で落ち着ける場所はありますか?建物の屋上や階段の踊り場、休憩室など、普段から自分の避難場所を決めておくと良いですね。 タイムアウトをすることで、目の前の怒りの対象から離れることができ、高ぶった怒りの感情を比較的短時間で静めることができます。冷静になると同時に、相手に対する感情も穏やかなものに変わっていくでしょう。また相手にとっても「まずい、怒らせてしまったかな•••」と考える時間を与えることにもなります。再びその場に戻った時には、お互いが一度冷静な状態にリセットされたところで話し合いができます。 感情的になっている相手の前から短時間でも離れることができない、しにくいという職場環境もあるかもしれません。しかし、お互いが感情的になっては問題を解決することは困難です。意思の疎通が阻まれチーム内に亀裂が生じることで、後々より大きな問題が発生する可能性が高くなります。重大な問題解決に必要とされる時間は比較にならないほど膨大になるでしょう。チーム内でイライラが積み重ならないように、メンバー同士がタイムアウトを認め合えるような関係性をリーダーは築いていってください。 "
2016-05-24
"一般社団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントシニアファシリテーター 須田愛子 "