耳より!SPかわら版

医療現場に求められるリーダー像

第6回:チームサイクル③メンバーの入れ替わり時期

"第6回:チームサイクル③メンバーの入れ替わり時期 どんな組織•チームにも始まりがあれば終わりがあります。一生、同じ人達と仕事をするということは非常に稀で、常に入れ替わりは生じるものです。せっかく「これからメンバーとしてチームを支える立場から、リーダーとして後進のメンバーを育ててほしい」と思っていた矢先に、何らかの事情で期待していた人材が職場を去るということは多々あります。 リーダーは今までの努力が水泡に帰してしまったように感じて憤りを覚えたり、徒労感や無力感から気落ちしたりする事もあるでしょう。さらには、チーム全体としても士気が低下する上、次の人の採用が決まるまで辞めた人の仕事を分担する必要があることから、チームワークの再構築が必要です。 感情トラブル回避術 人の入れ替わりの頻度は、人間関係が安定している職場よりも人間関係が不安定な職場で多く見られることは確かです。しかし、たとえ前者のような職場であっても、働く人が高齢になれば、代替わりも含めて人の入れ替わりは起こるものです。 新しく入ってきた人にとっては、チーム全員が知らない人になります。しかも新しい職場のやり方に慣れるまでには時間がかかるでしょう。そのような時にリーダーが次のような言葉を口から出さないように気をつけましょう。 「前の人はちゃんとやっていたのに」 以前、一緒に働いていたメンバーはチームの中での立ち位置を十分に理解し、仕事も丁寧に心掛けていたのに、新しく入ってきたメンバーは全く異なる。仕事のやり方が荒く大雑把に済ませている上、時間も微妙にルーズであるため、チーム全体に違和感があったり、トゲトゲしい雰囲気を感じたりする。面接の際には、前任者の仕事内容を十分に理解している様子だったのに、どうもチームとして上手く噛み合っていない。 こんな時につい、 「前の人ちゃんとやっていたのに」 と言ってしまうことがあるかもしれませんが、他人と比較することは避けましょう。そうでなくても、新しい職場の人たちややり方を覚えるのに精一杯で気持ちの余裕が少なくなっている人に対して、最初から前任者と同じレベルの仕事を期待するのは高望みというものです。また、前任者と比較されることで「自分は劣っている」と劣等感を初めから抱いたり、リーダーや周囲のメンバーに対して反発を覚えたりすることもあります。 チームの一員としてスムーズに迎え入れるためにも、まずは「慣れていないから仕方ない」と一定の理解を示しましょう。その上で、一番問題となっている点、改善して欲しい点を明確に伝えるようにしましょう。 「まだ慣れていないからよく分からないだろうけど、ここではスピードよりも正確さが要求されているので、正確さを第一に考えて行動してください」 同じ職種、同じような仕事内容でも、職場環境によって仕事の優先順位のつけ方は変わります。新しく人が入ってきた時には、その職場では何を大切にして仕事が遂行されているのかをリーダーが伝えることになるので、一緒に働くメンバーが再確認する機会にもなります。人の入れ替わり時期には、新しいチーム体制での第一段階としてチームが共有すべき事項を、億劫に思わずに伝えることがリーダーの役割です。 "

2016-05-10

"一般社団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントシニアファシリテーター 須田愛子"