耳より!SPかわら版

医療現場に求められるリーダー像

第1回:理想の医療チームはどれ?

"第1回:理想の医療チームはどれ? 今回のシリーズでは、アンガーマネジメントの視点からリーダーシップの向上および快適な職場環境作りに役立つ視点を提供したいと思います。 一般的に、組織内におけるコミュニケーション不足が業務の障害につながることを危惧している経営者は80%以上います(経営者/人事担当者100名に対して一般社団法人日本アンガーマネジメント協会が実施したインターネット調査より)。組織における人間関係において、「怒り」の感情が円滑なコミュニケーションを阻害している、または顧客•利用者の満足度に大きな影響を及ぼしていることは、あまり認識されていないかもしれません。 「コミュニケーション不足が業務の障害につながる」点は、医療現場においても同様です。診療行為•治療行為そのものが素晴らしいからといって、患者•受診者の満足度が高いというものでもありません。その病院で医師•看護師を含めスタッフ全体でどのような対応をしてもらったのか。往々にして、それが患者•受診者およびその家族の精神的な満足度を大きく左右します。 感情トラブル回避術 勤務医、開業医の先生は現場におけるリーダーであり、「怒り」の感情をコントロールすることは非常に重要です。また、看護師•スタッフの方々の中にも、リーダー的役割を期待されている人は多々いらっしゃいます。自身の「怒り」の感情とうまく付き合うことにより、病院内コミュニケーションの改善につながり、一緒に働くチームメンバーから名実ともに「リーダー」として頼られる存在となるでしょう。 「理想の医療チーム」を考えるにあたり、ここでは医療に関わる知識や技術に関しては、関係者全員が求められるレベルを有していることを前提として話を進めます。人によって「理想の医療チーム」に対するイメージは異なるかもしれませんが •リーダーの指示や、各自のやるべきことが明確 •チーム内に伝える必要があると感じたことを互いに言い合える •打てば響くように指示が通る、または「あ•うん」の呼吸で仕事が進む •各自が己の役割を果たすだけでなく、周囲にも目配り•気遣いを欠かさない といったことは多くの人が共通して抱く点だと思われます。 メンバーがカッとなってキツイ言葉を言ったり、共通のルールから外れた行動で周囲をイライラさせたり、素直に指示に従わない人がチームにいたりすれば、円滑なコミュニケーションは望めず、「理想のチーム」にはほど遠いということです。まずは自分がイラっとさせられるような言葉に対して、どのような言い換えができるのか意識を向けてみましょう。次の場面を想定してください。 【そこまでやる必要あるんですか?】 チームリーダーである医師が患者の家族に、患者の客態と今後の見通しについて説明をした。その後、オフィスに戻り説明に同席していた看護師に、家族側が必要とすると思われる情報(退院後の相談先等)も補足して伝えるように指示を出したところ 「そこまでやる必要あるんですか?」との返事、 あなたは何と反応するでしょうか? 「必要があると思うから頼んでいるんだ。いちいち口答えをするな。」 「面倒くさがらず、ちゃんと伝えてきて。」 と言ってしまうかもしれません。 こうした言葉では「何故やらなければならないのか」が相手に伝わりません。相手が理由を自分で見つけられるよう、次のように言い換えてみましょう 「君がご家族の立場だったら、退院後の情報をもらうことでどう感じるかな?」 「そうすることで、私たちチームが得られるものは何だろう?」 リーダーにはメンバーを育成する役割が期待されています。そのことが仕事として明文化されていなくても、チームとして動く上で推進役である以上、コミュニケーション上での工夫が求められます。上記のような言い換えができるようになると、ご自身が怒りの感情を表に出すことが減り、しかもチーム全体の成長につながります。どんな言葉がリダー自身を、周囲をイライラさせるのか。それらをどう言い換えたら、コミュニケーションがより改善するのかについて、アンガーマネジメントの視点から提供していきます。 "

2016-04-05

"一般社団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントシニアファシリテーター 須田愛子"