耳より!SPかわら版

健診現場で活かす!アンガーマネジメント

第12回:視点を変える「3コラムテクニック」

"第12回:視点を変える「3コラムテクニック」 アンガーマネジメントの中心的なテクニックが、第7回で紹介した「アンガーログ」です。怒り・イライラを感じたらその都度、日時、場所、どんなことがあった、自分はどう感じたのか、その時の怒りの強さを10段階で評価した数字を記録します。その際のポイントは、一切の分析をしないで淡々と記録することでした。 記録(ログ)を残すことで自分の怒りの傾向が見えてくるのですが、これまで付けたログはありますか?あれば、それを振り返ってみてください。ログがなければ、最近あったイライラしたことを思い浮かべながら、自分の怒りの原因となる「べき」が何か、どのようにすれば怒りと上手に付き合えるようになるのか、別の視点で考えてみましょう。 これは「3コラム(=箱)テクニック」と呼ばれるテクニックで、3つの箱に分けて考えます。特に、3)の視点の書き換えは第三者の目で客観的に考えることが必要になってくるので、落ち着いた環境で、時間を十分にとって書き出してください。 3コラムテクニック 感情トラブル回避術 1)アンガーログを入れる:  例)医師が指定された日時に健診現場へ出向くと、まだ机や椅子の移動や必要な医療器具の準備がすべて整っていなかった。 2)自分を怒らせる「べき」を見つける:  例)準備は医師が到着する前に終わらせるべき 3)どのように考えたら「自分にとっても周りの人にとっても長期的で健康的でいられるか?」という視点で考えを書く:  例)スタッフの中で急に休まなければならなかった人がいたのかもしれない。今回の現場は特別な仕様なのかもしれない。こういうことも起こりうるという現実を受け入れる。医師の集合時間前までではなく、健診開始時間までに準備が完了していれば問題はない。全部が無理なら、せめて、持ち場の机と椅子が用意されていれば良い。 怒る必要がある時には怒ることができ、怒る必要がない時にはその感情を流す、放っておくことができるようになることがアンガーマネジメントです。無意識に出てしまう攻撃的な態度で健診現場の雰囲気を悪化させないためにも、怒りの感情をコントロールすることが重要です。 上記のように医師の現場到着前までに準備が整っていないことでイライラすることが多いのであれば、3コラムテクニックで視点を変えてみたり、事前に「医師が到着する前までに、健診の準備を完了しておいて欲しい」という依頼を毎回する習慣を付けてみたりしてはいかがでしょうか? その際に、もし全部準備しておくことが難しいのであれば、せめてこれだけは準備を完了しておいて欲しいという内容(例えば、持ち場の机と椅子)を具体的に伝えるようにすると、周りの人が動き易くなります。100%は無理でも、最低限ここが満たされていれば、自分は許容できるという範囲です。それを周囲に伝えるようにしましょう。 今回のシリーズでは健診業務に携わっていらっしゃる医師やスタッフを対象として、怒りの感情をコントロールするテクニックや、感情を伝えることの大切さ、6つの怒りのタイプとそれぞれの特徴、経験しやすい怒りの場面や対処方法についてお伝えしました。日々、心地よく仕事を遂行できるように、ご自身の怒りのタイプを理解し、健診の現場でアンガーマネジメントを実践して頂ければ幸いです。最後までお付き合いくださり誠にありがとうございました。 "

2015-12-22

"一般社団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントシニアファシリテーター 須田愛子"