耳より!SPかわら版

健診現場で活かす!アンガーマネジメント

第1回:初めての相手にこそアンガーマネジメント

"第1回:初めての相手にこそアンガーマネジメント アンガーマネジメントシニアファシリテーターの須田愛子です。 今回のシリーズ第2弾では、健康診断(健診)業務に携わっている医師の先生方やスタッフの方々を主な対象としています。実際の健診現場で経験する事のある事例から、イライラや怒りの感情をコントロールする方法や価値観の違い、イライラの背景にある考え方などについて伝えてまいります。業務上の参考になれば幸いです。 初回のテーマは「初めての相手にこそアンガーマネジメント」。 初対面の人とすぐに打ち解けることが得意な人もいれば、そうでない人もいます。一般的には、知らない人や初めての人には警戒心を感じたり、無意識に攻撃的な態度を取ったりすることがわかっています。「ザイアンスの法則」という言葉をご存知でしょうか?直接接触する回数が多ければ多いほど、相手に対する好意の度合いが高まるという法則です。つまり、しょっちゅう顔を合わせる人には親しみを抱くようになり、初対面の人には意識せずに攻撃性のある怒りをぶつけやすいということです。 感情トラブル回避術 「攻撃性のある怒り」には、他人を傷つける、自分を傷つける、モノを壊す、といったことが挙げられます。これは物理的(肉体的)な意味と精神的な意味の両方での攻撃性を示しています。精神的に「他人を傷つける」というのは、ある言葉が、相手の弱点や急所に刺さる、または相手の辛い•悲しい感情を呼び起こすことがわかっていながら、敢えてその言葉を用いることが該当します。精神的に「自分を傷つける」というのは、自分の怒りの感情を抑え込みすぎて怒りの矛先が自分に向かい、自己否定や自信喪失から過度に落ち込む、悲観的になることです。精神的に「モノを壊す」とは、これまでに築き上げた目には見えない関係性を壊してしまうような怒りの衝動のことです。 健診現場で働くメンバーが毎回同じであれば、何度も顔を合わせるうちに医師やスタッフ相互間には自然と好意度が増し、スムーズなコミュニケーションが期待できます。しかし、医師やスタッフがお互い知らない者同士で、その日に実施する健診業務の目的だけで集まって業務を行う場合は、全員が無意識に警戒感を抱いてしまいがちなのです。その結果、医師•スタッフまたは受診者に対してイライラとした感情を表に出す、怒りをぶつけるといった攻撃的な態度をとってしまったり、逆に攻撃を受けてストレスを抱えてしまったりして、現場に緊張した雰囲気が漂うことになります。 知らない者同士が集まる場だからこそ、その日一日だけでもお互いが「チーム」として支え合い、リスク管理の観点からも業務上のコミュニケーションが図られ、誰もが気分良く自分の業務を遂行したいですよね。そのためには、初めに無意識に生じる警戒感を自ら解くことが必要です。知らない者同士が集まる場、例えば、婚活パーティーでは必ず会の最初に参加者の緊張感を解きほぐし、話し合うきっかけを作るためのゲームやクイズ、体を動かす「アイスブレイク」が行われます。そうすることで、固かった場の雰囲気が柔らかく和み、参加者同士のコミュニケーションが弾みやすくなるからです。 健診現場ではそのような時間的余裕はありませんが、少なくとも「自分はあなたを攻撃しませんよ」という意思表示として、その日の現場に到着した際には「笑顔で挨拶」することを自分に課してみてはいかがでしょうか?いきなり知らない人に笑顔で挨拶するのはハードルが高いと感じる方は、意識的に「攻撃しない」態度で初対面の人と接する事を提案します。それは「無視しない」ということです。現場を共にする初対面の相手に、理由もなく明らかな攻撃をする人はまずいないでしょうが、小さな攻撃の形である「無視する」ことを気づかずにやってしまってはいないでしょうか?例えば、挨拶されたら挨拶を返す、呼ばれたら返事をする、人の話には耳を傾ける、などです。社会人として基本中の基本ですが、これがないことで不信感が募り、警戒心が高まり、攻撃的な態度や感情(=怒り)につながっていくので、チームワークの基礎として一緒に働く人を「無視しない」ことから始めてみてはいかがでしょうか? "

2015-10-06

"一般社団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントシニアファシリテーター 須田愛子"