耳より!SPかわら版
感情によるトラブル回避術
第9回:魔法の呪文:カッとなったら 〜その3〜
"魔法の呪文:カッとなったら 〜その3〜 外来で受付に来た患者様から「予約時間がとっくに過ぎている。早く診察してほしい」と言われた際、「申し訳ありません。基本的に予約順で診察をしていますが、診察時間が長引くこともありますのでご了承ください」と病院の状況を説明しても、納得できない患者様は「俺は仕事があって急いでいるんだ!一体、何のための予約なんだ!」と怒鳴ることもあるかもしれません。 病院の状況を理解しようとせず、他の方々も同じように予約をして待っているにもかかわらず、自分の要求を通そうとする患者様に理不尽な思いをすることもあるでしょう。 だからといって、カッとなって言い返したり、露骨に不快な表情を見せてしまうと、相手は余計に腹立たしくなって事態をこじらせたり、場合によっては病院全体の問題に発展してしまう可能性もあります。 感情トラブル回避術 医療現場で働く立場として最優先にしなければならないことは、怒鳴ってきた患者様の言い分が正しいかどうかを議論することではなく、どのようにこの場で自分の怒りの衝動をコントロールするかです。 そうしたことを防ぐためにまず6秒待ちましょう。これまでに、手の平に指で怒っていることを書く、怒りの度合いを数値化して10段階評価するということをお伝えしましたが、今回は、「魔法の呪文」をご紹介します。 魔法の呪文とは、カッとなった時に冷静さを取り戻すための「言葉・フレーズ」を唱えるテクニックです。 特定のフレーズを自分に言い聞かせることで、自分の気持ちを落ち着かせたり、客観的になることができたりするようになります。 具体的には「大丈夫、大丈夫」「まあ、いいか」「たいしたことはない」「ここで怒っても何の得にもならない」「まずは深呼吸!」などなど。ご自分にしっくりくる、心が落ち着く言葉・フレーズであれば何でも良いので、2-3つ自分専用の決まり言葉をご用意ください。 この他にも、自分の好きな物を次々に挙げてみるのも一つの方法です。 例えば、大の温泉好きなら、これまで行ったことのある温泉地や行きたいと思っている場所を挙げてみるのも良いでしょう。 「箱根、湯本、伊豆、熱海」「道後、有馬、登別」「草津、津軽、軽井沢」など、ちょっとリズム感良く唱えられる言葉・フレーズだと忘れにくい上、唱えているうちに何となくリラックスした気分になれそうです。 カッとなった時、イラっとした時にこのような呪文を唱えることで、意識の上でワンクッション置いて、怒りの感情と客観的に向き合いましょう。 患者様から暴言を受けたり、理不尽な納得できない思いをしたりした時に、反射的に怒りに身を任せて応じる(言い返す、し返す)ことは、後々ご自身にとっての不利益となって返ってくる可能性があります。 「あの人は怒りっぽい」「この仕事に向いていないのではないか」「トラブルメーカーで困る」という評価を受けるかもしれません。自分にぴったりした呪文を唱えることで、怒りの感情のピークである6秒間は反射的な言動及び行動を抑えましょう。 ぜひ自分の決まり言葉・フレーズをいくつか用意しておいて、職場でも家庭でもカッとなったら唱えてみてください。 "
2015-06-02
"社団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントシニアファシリテーター 須田愛子"