耳より!SPかわら版

感情によるトラブル回避術

第8回:スケールテクニック:カッとなったら 〜その2〜

"スケールテクニック:カッとなったら 〜その2〜 病院にはいろいろな患者様が来院しますが、患者様は来院する前にすでに心のコップにマイナスの感情(痛い、辛い、誰も自分の痛みをわかってくれない、この先が不安、悲観、絶望、等)をかなりの部分まで溜めている、すなわち、そもそも怒りやすい存在です。 そのため患者様はちょっと待たされることにもイライラして、医師や看護師に暴言を吐いたり、繰り返し詰め寄ってきたりすることもあるでしょう。 そうした際に、こちらがカッとなって口にした一言が、患者様との関係を決定的にこじらせる原因になる可能性もあるので、カッとなったらまずは6秒をやり過ごしましょう。 感情トラブル回避術 前回は手の平に指でイライラしていることを書いてみる方法を紹介しました。それと同時にもう一つ習慣にしてほしいテクニックがあります。 それはスケール(尺度)テクニックという自分の怒りをレベル分け・数値化する作業です。 医療現場においては患者様の容体を様々な数値の動きを見ることで、改善に向かっている、悪化していると判断するように、私たちは数字を使うことで、より具体的に明確に物事を理解することができます。 では、ご自身の怒りについてこれまで数値化したことはありますか? 怒りには、ちょっとカチンとくるようなイライラ、すぐに忘れてしまうようなもの、逆にいつまでも忘れることができない刺さった棘のようなしつこい怒り、頭に血が上るような憤りを感じるものなど、実にさまざまな種類・強弱があります。 しかし、普段私たちはそのような強弱をあまり意識せず、些細なイライラから、どうにも治まらない怒りまで、同じように考えていることが多いため、怒りをコントロールすることが難しいのです。 ぜひここでは、怒りを数値化してみましょう。 右の表を参考に、自分が感じたイライラ・怒りが1-10段階のどこに該当するのか、意識的に数字に置き換えるという作業を行ってください。 感情トラブル回避術 数字に置き換える際は、最初は主観的、感覚的で構いません。 1から3の「軽くイラっとする」の中でも、それが1と3とでは、3の方が強く怒りを感じたということになります。 ここでのポイントは怒りの感情をレベル分けすることなので、同じ数字にしてしまっては意味がありません。 最初は難しく感じても、数字に差をつけてみてください。日々実施していると「あの時の怒りが5なら、それと比べて今日のイライラはあれほどではないから、3かな」と自分なりの基準を持てるようになってきます。 怒りの感じ方は人によって大きく違う場合もありますので、例えば職場の仲間内でスケールテクニックを実践し、「さっき怒鳴り込んできた人、私は6だった」「え〜、結構きつかったんだね。私はそばに付き添っていただけだから2かな」というように、休憩時に教え合うのもコミュニケーションを円滑にする上で役に立ちます。さらに自分の怒りの数値が低ければ「こんなことで怒っても仕方がない」と、そのイライラにこだわることなく簡単に流せるかもしれません。 カッとなった時に6秒待つためにすることとして、手の平に指で書くことと同時に、怒りを数値化するという作業をぜひ習慣にしてください。そうすれば、目の前の怒りから距離を置くことができ、状況をやや客観的に見ることができるようになります。 "

2015-05-26

"社団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントシニアファシリテーター 須田愛子"