耳より!SPかわら版

感情によるトラブル回避術

第7回:6秒ルール:カッとなったら 〜その1〜

"6秒ルール:カッとなったら 〜その1〜 前半6回では怒りの感情について概要を説明してきましたが、後半6回は具体的なアンガーマネジメントのテクニックをお伝えします。 テクニックは、イラッとした時、カッとなった時に短期的にできる対処方法と、長期にわたって怒りにくい頭をつくる・習慣を身につける体質改善策の大きく二つに分類されます。 今回は、短期的にできる対処方法の基礎となる考え方と実際の方法を紹介します。 感情トラブル回避術 私たちは怒ると、「いい加減にしろ・ふざけるな・冗談じゃない」等の不用意な言葉を言ってしまったり、大声を出す・怒鳴り散らす・机を叩く・ドアをバタンと閉める・舌打ちをする等の行為を通じて、感情を態度で表したりします。 これらの行為によって相手を余計に怒らせる、または周囲に怒りを撒き散らす結果となります。 私たちが絶対に行ってはならない事は、イラッとした時に脊髄反射的に「売り言葉に買い言葉」で相手に言い返したり、殴る・蹴るといった攻撃的な行動を取ったりすることです。 この反射的な行動によって周囲に迷惑をかけ、患者様からの評判を落とし、結果的に職場(病院)全体が損をするということにもつながりかねません。各自が反射的な言動・行動をしない習慣を身に付けていることが肝心です。 そこで、怒りの感情のピークに達している間は別のことに意識を集中させてみましょう。怒りの感情がピークに達する時間には諸説あり、感情が脳に電気信号として達し、言葉に出したり手足を動かしたりするまでの時間は、脳科学的に考えれば0.2秒程度とも言われています。 ただし、日本アンガーマネジメント協会では、心理学博士、ダニエル・ゴールマン著「EQ こころの知能指数」で言及されている説を採用し、まずは「6秒」やり過ごすための簡単な方法を提案しています。 イラッとした時にまず何をすべきか その方法とは、頭にきたこと、イライラしたことを指で手の平に書くというものです。 仮に、指で手の平に「6秒ルールで待つ」と試しに書いてみてください。 漢字を入れると6秒では書き終わらないのではないでしょうか。手の平に書くことが難しい状況なら、持っているペンでメモ用紙に書くとか、立っている場合なら指を脚に沿わせて目立たないように動かす形でも構いません。 こうした方法をお薦めする理由は、何もしないでただ6秒待つよりも、身体の一部を使って何か作業をしている時の方が一般的に時間をやり過ごしやすいからです。また、6秒待つことで、いきり立っていた感情がピークを過ぎて徐々に落ち着いてくるからなのです。 6秒間、何もしないでいることは難しく、余計な言葉がつい口から出てしまったりすることがありますが、「身体を使って何か作業をしている間は、反射的な行動を取らない」というルールを自分に課すことが重要になってきます。 このルールが習慣化すると、どんな場面でも怒りの対象からまず自分を一旦落ち着かせることができ、怒った相手や物事に対して一歩引いて客観的に見ることができるようになります。 この6秒を待てるか待てないかで、その後が大きく変わりますので、まずはイラっとしたらそれを手の平に書いて6秒をやり過ごすという習慣をつけてください。この6秒を待てなかったために、患者様からの信頼を失うということがないように。 次回は、6秒をやり過ごす上で効果的なもう一つのテクニック、スケールテクニックをご紹介します。 "

2015-05-19

"社団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントシニアファシリテーター 須田愛子"