耳より!SPかわら版
感情によるトラブル回避術
第6回:子どもに対する効果的な叱り方
"子どもに対する効果的な叱り方 「あ〜あ、子どもにあんなに強く、きつい言い方で怒らなければよかった」「相手が謝っているのに許せないなんて、親として失格かも!」と後悔や罪悪感を覚えたことはありませんか? 後悔や罪悪感を感じることなく子ども(患者様、部下、同僚など)に対して、相手が素直に受け止められるように叱ったり、伝えたりする際の効果的な方法をご紹介します。 子どもに対する叱り方と題していますが、管理職・部門長・グループリーダーの方々は、部下・メンバーに対する叱り方と置き換えて読んでいただければ幸いです。 余談となりますが、後悔や罪悪感は第2回のコラムでお伝えした、ネガティブな第1次感情に含まれます。したがって、怒った後で後悔や罪悪感を多く経験する人は、その時点で心の中のコップに、自分でネガティブな感情を注いでいるのです。そのような人は些細なことですぐイライラする怒りっぽい人になるし、他人から何か少しでも攻撃的なことを言われたり、されたりするだけですぐに落ち込むような、打たれ弱い(怒られ弱い)人になることがある点に留意してください。 感情トラブル回避術 私たちが他人から注意されたことに対して、素直に聞くことができないのはどんな時でしょうか? 注意された内容は「その通り」と頭ではわかっていても、心・気持ち・感情がそれを受け付けない時はまず素直に聞くことはできません。外部に対して心のシャッターを下ろしてしまった人には、どんな慰めも、叱って鼓舞する言葉も相手には届きません。シャッターを下ろさせないような表現方法を心がけましょう。具体的には、 ① 原因を責めない ② 決めつけ表現を使わない ③ 機嫌・気分で言うことを変えない ④ 人格・性格を否定しない ⑤ 過去の話を持ち出さない の5つがポイントです。 ① 原因を責めない:「なんでxxしたの」「どうしてxxになったの」と聞いても、目の前のことに夢中になって全体を見ることができない時期の子どもは、正しく答えられない場合が多いのです。過去の原因を追求するのではなく、まず相手の言い分を理解した上で「どうしたら次はできるかな」と解決方法を自分で考えるように促してあげることが大切です。 ② 決めつけ(いつも、必ず、絶対、毎回など)表現を使わない:人間ですから失敗をすることはあるでしょうが、成功したこともあるはずです。「いつも、いつもできない」と言われると、「そんなことはない。ちゃんとできたこともある。全然わかってくれていない」と反発するのは確実です。いつも、必ず、絶対、毎回といった表現は思い込みから発せられることが多いので、できれば禁句にしましょう。 ③ 機嫌・気分で言うことを変えない:機嫌の良い時には約束の期限をオーバーした相手に何も言わない一方で、機嫌が悪いと期限内ギリギリでも「遅かったわね」と言ってしまうことがあると、相手に信用・信頼してもらえません。家族内で話し合ってルールを決め、そのルールが守られなければ叱るということを、穏やかな状態の時に伝えるようにしてください。機嫌・気分で叱るのではなく、ルールが守られなかったから「叱る」ようにすれば、お互いの信頼関係が損なわれることはありません。 ④ 人格・性格を否定しない:「おまえはダメな子だ」と言うのは人格否定です。叱るのはその時の行動だけにしましょう。例えば、兄弟喧嘩をして兄が弟を叩いた時、叩いた行為や弟に優しくできなかった事実のみに対して叱るようにしましょう。 ⑤ 過去の話を持ち出さない:「そういえば、あの時も同じようなことをしたよね。それから別の時も、、、」と過去を持ち出すと、目の前のミスが事実であっても相手は素直に受け入れることが難しくなります。叱るときはその場で行いましょう。 親として子どもを、管理職として部下を叱らなければならない時は、これら5点に留意して伝えてください。 "
2015-05-12
"社団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントシニアファシリテーター 須田愛子"