耳より!SPかわら版
感情によるトラブル回避術
第1回:アンガーマネジメントとは
"No.1 アンガーマネジメントとは この度ご縁があり本コラムでイライラや怒りをコントロールする方法について執筆することになりました、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントシニアファシリテーターの須田愛子と申します。 日頃医師として仕事で重責を担いつつ、子育てにおいても毎日奮闘されている読者の皆様に、イライラ・怒りについてお伝えするとともに、家庭や仕事上でも活用していただけるようなイライラ解消の代表的なテクニックについてもご紹介していく予定です。アンガーマネジメントという考え方の一端を理解していただき、日々の生活の中で怒りの感情をコントロールすることが習慣となるようお役に立てれば幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。 感情トラブル回避術 第1回目のテーマは「アンガーマネジメントとは?」です。この言葉を聞いたことはありますか? ここ2-3年でテレビ、新聞、雑誌等で取り上げられることが飛躍的に増えてきてはいるものの一般的な認知度はまだ低いかもしれません。「アンガーマネジメント」は怒りの感情に焦点を当てた感情理解教育です。1970年代に米国で始まった考え方で、当時すでに社会問題化していたドメスティック・バイオレンス(DV;夫婦間・親子間の暴力)において、暴力をふるってしまった人へのメンタルヘルスプログラムから発展しました。現在は医療・介護の分野はもちろんのこと、教育、プロスポーツ、司法分野、企業経営、人間関係・コミュニケーションなど幅広い分野で採用されています。 アンガーは英語のanger(=怒り)です。マネジメントは英語のmanagementを辞書で引くと「取扱い、管理、経営」といった訳語が出てきますが、日本アンガーマネジメント協会では「配分する」と定義してマネジメントという言葉を使っています。では「配分する」とはどういうことなのかを説明する前に、私たちが日頃イライラする状況について考えてみましょう。このような経験はありませんか? 忙しく支度をしている朝、子どもが「今日は保育園に行きたくない」と言って駄々をこねたので、「もう時間がないから早くしなさい!」と怒ったら子どもが泣き出した。それに対してさらに「いい加減にしなさい!!」と怒鳴ってしまった。 この後、私たちはどんな気持ちになるでしょうか?怒りが収まらずイライラし続ける場合もあるでしょう。なぜ行きたくなかったのだろう?お友達とケンカしたのかしら?ちゃんと話を聞いてあげれば良かった、あんなに大声を出す必要はなかったなどと後悔することもあるのではないでしょうか? もし私たちが怒った後で罪悪感や後悔を感じることがあれば、それは怒る必要がなかった怒りなのかもしれません。怒らなくてもよいことは怒らない=無駄な怒りを減らすことが大切です。逆に、私たちは「あの時ちゃんと怒っておけば同じ謝りを繰り返すことはなかったのに」と、怒らなかったことで後悔することもあります。その場合は、怒る必要があったと言えるでしょう。 したがって「配分する」とは、怒る必要のあることなのか、怒らずに済むものなのかを区別する基準を自分の中に持つ、怒りの感情を区分けができるようになることと定義されます。 決して怒ってはいけないと言っているのではありません。この点は誤解される方が多いので強調したいのですが、怒りは私たち自身を守る・防衛するために必要な感情なので、怒りを感じること自体は悪いことではないのです。ただし、怒りの感情に振り回されると、家庭や仕事の上で支障が出たり損したりすることがあるので、そうならないためにも怒りの感情のコントロールが重要なのです。特別なスキルや才能は要りません。誰でもトレーニングを続ければ、自分の怒りと上手に付き合うことができるようになります。ご安心下さい。 そして「怒る・怒らない」の基準を持つためには、まず怒りの感情がどういうものなのか、仕組みや構造について理解し、自分の感情とうまく付き合うことが重要になってきます。そこで次回は「怒りとは何か」についてより詳しくお伝えします。 "
2015-04-17
"社団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントシニアファシリテーター 須田愛子"