耳より!SPかわら版

コラム

第3回:社会保障・税番号制度について

"平成25年5月、番号関連法が成立・公布されました。 どのような制度であるか、また、この法律により医師にご注意いただきたい事を主に税務面から簡単にご説明したいと思います。 1.社会保障・税番号制度の概要  社会保障・税制度の効率性・透明性を高め、国民にとって利便性の高い公平・公正な社会を実現することを目的として、社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)が導入されます。  具体的には、平成28年1月から順次、国税分野で個人番号及び法人番号(会社等)の利用が開始され、申告書及び法定調書などを提出する方は、これらの税務関係書類に個人番号や法人番号を記載することが求められます。 ジェネリック医薬品イメージ 2.個人番号及び法人番号について 平成27年10月から、個人番号及び法人番号が通知されます。  (1)個人番号  住民票を有する全ての者に対して、1人1番号の個人番号を住所地の市町村長が指定します。氏名、住所、生年月日、性別及び個人番号を記載した「通知カード」により通知されます。原則として、一度指定された個人番号は生涯変わりません。  「通知カード」と引き換えに市区町村にて本人確認の上、「個人番号カード」(顔写真、ICチップ付)が交付されます。    また、個人番号は、番号法に規定する場合を除き、他人に個人番号の提供を求めることは禁止されてます。 (2)法人番号  国税庁から法人等に対して、1法人1番号の法人番号を指定し、書面により通知されます。  法人番号は原則公表され、法人等の基本3情報(①商号又は名称、②本店又は主た る事務所の所在地、③法人番号)の検索、閲覧可能なサービスをインターネットを通 じて提供することを予定しています。  利用範囲に限定はなく、どなたでも自由に利用できます。 3.税務面での利用  (1)納税者等(個人、法人等)は、確定申告書等の税務関係書類に個人・法人番号を記載するが求められることになります。    ①所得税:平成28年分の申告書から    ②法人税:平成28年1月以降に開始する事業年度に係る申告書から    ③法定調書(源泉徴収票、支払調書等):平成28年1月以降の金銭の支払等に係るものから  (2)法定調書提出義務者は、支払を受ける方から個人番号の提供を受ける際に、個人番号等の提示を受け、本人確認を行う必要があります。 4.これからどうなる? 以上簡単に概要を説明しました。それでは今後どのようになるのか? 例えば「通知カード」を「個人番号カード」に引き換えるスケジュールはどうなるの? 引き換えない人がいた場合は? などなど様々な問題点が見えてきます。   筆者(税理士)の本音は、実際に施行されて見ないと解らないと思っております。 我が国始まって以来の制度であり、試行錯誤を繰り返しながら不具合を改善して行くしか方法がないのではないでしょうか?   ただし、わかっている事は一つだけあります。   それは、所得把握の制度の向上等の実現です。   法定調書(報酬等の支払調書、源泉徴収票等)に個人番号を記載することから、全ての収入の突合、名寄せが容易に可能になります。また、添付書類の簡略化等に繋がり、申告は容易になり、したがって申告漏れを防ぐ重要な制度になるでしょう。 また、このコラムをお読みの先生方には、複数の医療機関に勤務されている先生も多数いらしゃる事でしょう。原則、個人番号制度に伴う個人のポータルサイトは非公開です。 番号制施行をもって外勤勤務が判明することは考えづらいと思われます。   ただし無申告の場合には、住民税の是正措置により勤務先に住民税額の通知がきてし まいますので、外勤勤務わかってしまうケースがでてくるのではないでしょうか。   所得税の確定申告の際には、確定申告書第二表「住民税・事業税に関する事項」の「住民税の徴収方法の選択」の箇所、「自分で納付の欄」に○印を忘れずに書き入れるようにいたしましょう。そうしますと原則的には御本人に住民税額が通知されるはずです。(申告の際には所轄税務署及び市区町村にご確認下さい。)  納税者の皆さんはこの制度を十分に理解された上で申告をして下さい。また、専門家である税理士又は所轄税務署と御相談の上、適正申告をお勧めいたします。 "

2015-01-19

税理士 谷口安司先生