耳より!SPかわら版

医療現場に求められるリーダー像

第4回:チームサイクル①立ち上げ期

"第4回:チームサイクル①立ち上げ期 今回からは視点を変えて、チームが生成し、チームとして動くようになり、メンバーが入れ替わるといった過程に分けてみましょう。これらの過程で生じやすい怒りの感情とそれに対する対処法を3回に分けてお伝えします。今回はチームの立ち上げ期、特に個人医院の開業時に起こりやすいイライラ•怒りに焦点を絞って話を進めます。 医院開業の前後に生じる怒りの感情は、時間的な制約がある中で、思うように事を運ぶ事ができない状態の時に起きます。例えば、開業前であれば、開業に必要な公的書類の作成準備や提出のための時間はもちろん、人材の確保、診療に必要な機材はもちろん、PC等のオフィス機器類の用意、ネットワークの構築、ホームページの作成、診療所の内装、近隣への宣伝や案内、開業祝いの応対などなど、いくつ身体があっても足りないでしょう。 感情トラブル回避術 そうした中で、開業近くになっても必要としている人やモノが確保できていなければ、時間が足りないことによる焦り、間に合わないかもしれないという不安や心配、困ったという気持ちから、陰で支えてくれているような親しい間柄の人に対して八つ当たりをしてしまうかもしれません。そのような状況の時に、他のメンバーから仕事の手伝いをお願いされて、つい出てしまうセリフとしては 「こっちも忙しいんだよ」 そこで、「忙しいのはこっちも同じ」と言い争いをしていては事が運びません。リーダーやメンバー同士が多少の譲り合いをする必要があります。 「忙しいでしょうが、どの部分なら手伝ってもらえますか」 「次回Aさんが困った時は手伝いますので、今だけ協力してもらえませんか」 といったように、相手に共感を示した上で部分的にお願いしたり、一方的なお願いではないことを伝えたりしてみましょう。 時間が限られているという状況が変えられないのであれば、すべてを完璧に整えることに固執するのではなく、手持ちの時間の中で具体的で現実的な最善の方法を選択する。例えば、人材を採用するにあたって、その人の医療従事経験や資質といった点よりも、開業時に実際働くことができるかどうかを優先することもあるでしょう。採用に応募してきた人に対して多少の不安や懸念を感じても、とりあえず人数の確保を優先して、マイナス面には目をつぶり、「ちゃんと教えれば問題ない」と自分に言い聞かせる。 しかしその後、何となく感じていた不安が的中し、何度教えても伝えた通りの手順で行わなかったり、仕事を頼むと「でも」「だって」という言葉が出て素直に行動に移さなかったりということが続いてイライラが増す。そして、「こんなはずではなかった」と後悔したり、「なんであの人を採用してしまったんだ」と怒りが自分に向かったりするかもしれません。 限られた時間の中で採用の選択肢がなく仕方がなかったのであれば、その人とこれから一緒に働いていくという事実を受け入れる。そして、採用したことについて後悔しないと決めてください。そして、採用した人のどんな行動が自分をイライラさせているのか、何が問題になっているのかを一つ一つ挙げてみましょう。もしかしたら相手はそれらがこの医院でのルール•常識だと理解していない可能性があります。初めて仕事をする人には「何故そうすることがここでは必要なのか」を根気よく教え、指導しましょう。それがリーダーに必要とされている役割です。 "

2016-04-26

"一般社団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントシニアファシリテーター 須田愛子"